大切なもの
「か、花梨…?」
花梨って名前を呼んだだけで、
俺の心臓はバックバク。
駄目だな……こんなんじゃ。
でも、
俺が花梨って呼んだら、
花梨はすっごく嬉しそうに笑ってくれた。
その笑顔がすげぇ可愛くて、
俺は花梨に、
いつも笑ってて欲しいと思った。
「ありがとぅ。」
語尾が少しだけ小さかった理由は、
花梨が下を向いてしまったから。
ただでさえ俺と身長差が10センチくらいあるのに、
ちっこい花梨が下見ちゃったら声が届かなくなる。
「あ…そだ。
俺のことも、呼び捨てで呼んでよ。」
俺は、花梨ともっと仲良くなりたいし。
呼び捨てのが、仲いい感じするだろ?
俺がそうやって花梨を見つめると、
花梨はゆっくりと顔をあげて、
俺の目をみた。