大切なもの
何も会話がないまま、俺たちはそのまま真紀を待っていた。
「いやぁ……お待たせーー!!!!!!」
3メートルほど離れた所から、真紀の声が聞こえた。
ふと時計を見ると、
真紀が現れたのは約束時間から5分が経った頃。
あー、別に遅れたのは気にしてないんだけど、
そんなに長い間沈黙してたんだなーって思うと…な。
別にいいんだけど。
花梨は気まずくなかったかな?
とか、
あの空気が嫌じゃなかったかな?
とか。
そんなことばかり考えた。
「真紀遅いー!!!
遅刻厳禁だぞ!?」
友哉は、やっとこの空気が破れたと思って安心してるんだろ。
そんなこと、
一発でわかるぞ。
気まずかったんカナ?
そうだったら、
ちょっと悪い気がした。