先生なんて大嫌い

悲観なアロワの涙の先には


 窓を開ければ日射しと共に涼やかな風が流れ込む。ついこの間まで権力を振りかざしたそれは、もうすぐ風に退かされそうで。次第に近付く学園祭を匂わせている。不思議とクラス内も盛り上がり団結し、皆楽しそうだ。勿論私もその内の1人。それでも前で話す委員長の声は遠くなる。私、寝てばっかりだなあ…。すうっと意識が遠くなって。でもその瞬間に上げられた右手に嫌に反応してしまう。それが私の手だったから。だらんと垂れてはいるが、ちゃっかりと自己主張しているそれは、皆の視線、歓喜、拍手を一斉に浴びてしまった。元凶は2つ。隣の席の愛歌とこのクラスの担任である出海。その後私は何とか弁解したが、クラスの皆の反対にあって、結局。
 「良かったね、文化祭のリーダーだよ。」
 「良かったな、これで猫耳だな。」
 「うん、ちよっと黙ろっか。」
 この2人はグルだ。ニタニタと笑うその口元がよくそれを語っている。委員長曰く、私は文化祭の責任者で、クラスの約半分の生徒を引っ張っていかなければならないそうで。そして反対しないクラスメイトもそう。面倒だからって任せないでよ。
 私が憂鬱とプレッシャーで押し潰されそうになっていた時、私は気付かなかった。あんな事が起こるだなんて。
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