【短】俺の、友人
『愁一郎が来てるんでしょ! なんで誰も見てないのよっ。役立たずな看護師たちねっ』
カツカツと鳴るヒールの音と頭に響くほどの甲高い女の声が、松浦のいる病室の前で聞こえてきた
どうやら俺らの部屋の前で、看護師に怒りだしたらしい
越智先生が、がっくりと肩を落とすと、「はあ」と深いため息をついた
「すまないねえ」
「あ?」
「今のは私の妻…なんだが、ちょっと短気で」
越智先生が、額に手をあてて、困った表情を浮かべた
『家に電話して、愁一郎がいるか確認して! きっといないでしょうけど』
「気が強そうだな」
俺が振り返って、ドアの隙間から見える女に目をやった
つり上がった目が印象的だ
「昔は可愛かったんだ」
「…ふん、人は変わる」
「妻は変わりすぎだ」
越智先生が、呆れた顔を怒鳴っている自分の妻を眺めていた
『あの女の病室にいるんだわ! 手術前だからって…なんて女なの』
越智先生の妻である女が、またツカツカと廊下を歩きだして、俺の視界からフレームアウトした
「騒がしくなるけど、ごめんね」
越智先生が、にこっと笑うと松浦の病室を出て行った
俺は先生が静かに扉を閉めるのを確認してから、廊下の外で繰り広げられる声を口を緩めて聞いていた
カツカツと鳴るヒールの音と頭に響くほどの甲高い女の声が、松浦のいる病室の前で聞こえてきた
どうやら俺らの部屋の前で、看護師に怒りだしたらしい
越智先生が、がっくりと肩を落とすと、「はあ」と深いため息をついた
「すまないねえ」
「あ?」
「今のは私の妻…なんだが、ちょっと短気で」
越智先生が、額に手をあてて、困った表情を浮かべた
『家に電話して、愁一郎がいるか確認して! きっといないでしょうけど』
「気が強そうだな」
俺が振り返って、ドアの隙間から見える女に目をやった
つり上がった目が印象的だ
「昔は可愛かったんだ」
「…ふん、人は変わる」
「妻は変わりすぎだ」
越智先生が、呆れた顔を怒鳴っている自分の妻を眺めていた
『あの女の病室にいるんだわ! 手術前だからって…なんて女なの』
越智先生の妻である女が、またツカツカと廊下を歩きだして、俺の視界からフレームアウトした
「騒がしくなるけど、ごめんね」
越智先生が、にこっと笑うと松浦の病室を出て行った
俺は先生が静かに扉を閉めるのを確認してから、廊下の外で繰り広げられる声を口を緩めて聞いていた