【短】俺の、友人
俺はベッドの中でびくんと身体を跳ねあげると、瞼を持ち上げた

誰かに呼ばれた気がした……のは、気の所為か

枕元で、激しく鳴っている携帯に、俺はため息をこぼした

ふざけるな

俺は今、携帯に出る気はない

そう心の中で愚痴りながらも、携帯を耳にあてる

『うちの会社って、リストラするほど…経営が苦しかったっけ?』

テツの落ち着いた声が、俺の耳に侵入してくる

「あ?」

『それに…警備会社の変更って…急すぎない?』

「テツ、夜中に電話してきたのはそんな理由か?」

『そんな理由って…受付の女の子たちが、泣きついてきたんだ』

「ふん、お前に泣きついたって、俺は取り消すつもりはねえよ」

『わかってるけど…理由くらい教えてよ』

「能なしに用はねえ」

『何かあったの?』

「いろいろありすぎて、話す気すら起きねえよ」

俺は、勝手に通話を遮断すると、携帯を放り投げた

どこに飛んでいったのか?

ゴンという音が小さく聞こえた

「松浦…死んだら許さねえよ。俺がぶっ殺してやる」

…って死んだヤツは殺せないか

でも、絶対に死ぬな

俺は、お前を信頼してるんだ


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