【短】俺の、友人
桃香の肩がびくっと震えた

桃香はこの傷が嫌いなんだよな

必死に隠したがる

俺は名残惜しく思いながら、前髪から指を離した

「じゃ、行ってくる」

「いってらっしゃい」

桃香が笑顔で、俺を送り出してくれる

悲しい瞳を必死に隠しながら、俺に精一杯の笑みを見せてくれた

俺は桃香に笑顔を見せてから、さくらを見た

幼い顔で、俺と桃香を羨ましそうに…でも悲しそうな顔をして見ている

俺はさくらの頭をポンポンと優しく叩いた

「松浦の目は必ず覚める。死なない。大丈夫だ」

俺の言葉に、さくらが涙をこぼした

平気だ

必ず…必ず松浦は目を覚ますさ

あいつは、俺の期待を裏切ったことはないからな

今まで一度も、裏切ってこなかった

今回だって、俺を裏切らない

そうだろ? 松浦……

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