【短】俺の、友人
屋敷
暗闇の中にポツンと明かりが漏れている

売り出し中と掲げられている看板を無視して、俺は屋敷の門を開けた

キィと寂れた唸り声をあげて、門が口を開く

俺は闇の中に足を踏み入れた

ポツンと申し訳なく光る窓の前に立った俺は、室内にいる人間たちに目をやった

誇らしげに笑い声をあげながら、ワイングラスを傾ける男女三人の姿を見て、俺は口を歪めた

随分と楽しそうじゃねぇかよ

倒産したばかりの夫婦の顔じゃねぇなぁ

俺は唇を噛みしめると、拳を握った

俺の拳が、窓ガラスを突き抜けた

ガシャンと甲高くガラスが割れ、氷のように破片が飛び散っていった
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