【短】俺の、友人
男女三人の目が俺のほうに向く

嬉しそうな笑みが一転、まるで幽霊を見たかのような凍りついた表情になる

「随分と楽しそうだなあ」

俺は笑う

謙蔵夫婦と松浦を刺した男が、ワイングラスを置くと、席を立ち上がった

「なぜ…ここが…」

「最後にこの家で、祝いたかったのだろう? 自分たちを破滅に追いやった元凶である松浦を消せたことを…」

俺の言葉に、謙蔵の肩がびくっと跳ねた

「殺しても無意味だぞ。俺が現場を見ている。俺の恨みを買っておいて、無事に済むと思うなよ。これ以上ない苦しみを味あわせてやろう」

俺は部屋に侵入すると、彼らが飲んでいたワイングラスを手に取る

じろっと謙蔵を睨むと、ワイングラスを床に叩きつけた

「死んだほうがマシだ…って思えるような地獄を見せてやる」

俺がにやっと笑うと、謙蔵の頬に汗が流れていくのが見えた

「何もしなければ、倒産だけで許してやろうと思ったのに…な。残念だよ…いや、光栄か? 俺の楽しみを増やしてくれたんだもんな」

くくっと俺は喉の奥で笑う

「お前のような薄汚い心を粉々に砕くのは、楽しいだろうな」

次に、俺は松浦を刺した男を睨んだ

「貴様は、警察行きだ。できるなら、ここで俺が抹殺したが…な。お前ごときの人間のために殺人犯になる気はない」

俺の言葉が終わると同時に、警視庁の藤城さんがドアを開けて入ってくる

「ああ、良かった。間に合って」

藤城さんがほっと息をついていた

「俺がこんな男たちに、犯罪をおかすとでも?」

「私に知られない程度の暴力は振るうと思ったけど?」

「もう少し遅ければ…ね。拳が2,3回くらい飛んでたかも」

俺が笑うと、藤城さんが「やっぱり」と呟いた

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