パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
“善は急げ、今日課長が帰って来たら言いなさい”
マイペースな紗枝の一言で締め括られ、あっという間にカフェタイムが終わって。
春も近づく頃合いだというのに、まだまだコートの手放せない夜道を歩いて行く…。
賭けを始めた日に彼のマンションで生活を始めて、既に2ヶ月。
そう。私は“クリスマス”を過ぎた今も返事をしていない――
クリスマスの日も一緒に過ごして、キスして抱かれていたから。
結局私は、何も言えないままに彼と付き合う事になっている。
気持ちはもう課長にしかナイのに…、キッカケが掴めずにいて。
普段は気恥かしさから、課長としか呼べないままだし…。
“好き”などといった愛情表現が、上手く出来ないのだ。
“信用出来ないの?”
紗枝の言う通り、ユウトとの事が尾を引いているのかな・・・