パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
身構えたくないのに…、やっぱり力を抜く事が出来ナイよ…。
「いや、俺も今帰って来たばかりだし。
俺のグチでも言ってたんだろ、どーせ?」
パタンとしおりを挟んで、小説を閉じた彼がニヤリと笑って尋ねてくる。
「うんって言ったら、どうします?」
ニッコリと嬉しそうに笑って、日頃の仕返しと言わんばかりに返すも。
「お仕置きタイムに突入」
私なんかの笑顔を跳ね除けるほど、妖しく卑猥な言葉を投げ掛けられるから。
「それは残念でしたー。
退職した美羽(ミワ)ちゃん、オメデタらしいですよ」
このドキドキを打ち消すように、茶化してしまう私。
2ヶ月前に結婚退職した後輩ちゃんの件に加えて、内心では紗枝の言葉も誤魔化す。
「へー、そうか…」
だからこちらを向いた課長の表情に、ホッと胸を撫で下ろしてしまう。
時折見せる、彼の切ない表情が気になって仕方ないのに。
この距離を埋める事なく、縋って甘える自分は最低だ・・・