パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
未だに好きだと…、ただ一言を伝えられないなんて・・・
「亜朱実、たまには食べに行こうか?
疲れてますって、顔に書いてあるしー」
すると眼前までやって来た彼が、人差し指で私の頬をムニッとさした。
「失礼な…!でも、ご飯は食べに行きたいです」
ご飯の誘惑には素直に屈伏する自分に、小さく溜め息をつけば。
「ハハッ、着替えてくるから待ってて」
「…うん・・・」
私の返事を聞いた彼が、柔らかい笑みを残してリビングを出て行った。
後ろ姿が何となく嬉しそうに見えた理由、それは…。
“はい”から、初めて“うん”と言えたからだ―――
たったコレだけの変化で、喜んでくれる人なのに。
たった2か月のコトで、彼の存在は日に日に大きくなっているのに。
2年間も消え失せなかった、ユウトがどんどん薄れているのにね…。