パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
一瞬で時が止まるって、このコトを言うんだね…――
「アスミ?」
「え、あ、と…、す…凄い、ですね…?」
ただ一言を聞いただけで、グラリと世界が暗転したような錯覚に陥る中で。
向かいの席で呼んでくれた声が、私をどうにか覚醒させてくれたけど。
何をどう返したのか分からないほど、動揺は収まってはくれなかった。
「凄くもなんとも無いよ。
TS商事は大手だけど、ワンマン体質な会社の雰囲気が嫌でさ…。
俺にはアットホームな今の会社が合ってるよ」
「そう、ですね…」
「それに…こうしてアスミと会えたしな?」
「…っ」
嬉しい事を言われたのに…、幸せすぎる一言がまた貰えたのに。
どうして私はここまで来てもなお、好きって言えないの…?