パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
当の本人はいつでも、素知らぬ顔をしているけど―――…
「あー頑張るか…、里中ちゃんお疲れー」
「はーい、お先に失礼します。
もう少しですから、頑張って下さいね?」
「サンキュ!」
ヒラヒラ手を振ってくれた彼に笑って、そのままフロアを抜け出した。
「さむっ…!」
いつものように、タイムカードをレコーダーにかざして一日が終わる。
出入り口のドアを開けた瞬間から頬を撫でる、外気の冷たさに身を縮めた。
大手から転職した課長は、聞くトコロによれば待遇面で色々と優遇されているらしい。
だけど妬みなんて抱く前に、成果を出してしまうのだから一目置かれる存在だ。
社内はおろか、取引先の女性陣からお声が掛かるのも無理はない。
ソレこそどうして私なのか、未だに謎が深まるけど――…