パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
本心とは違うのに、いつでも減らず口を叩くオンナなんて面倒なのに。
彼はいったい、ドコを好きになってくれたの…?
トクン、トクン…と一定に刻む鼓動と、冬でも暖かさを与えてくれる彼の体温。
そしてふわりと、主張するように香るマリンのフレグランス…。
ソレに溶け込むようにして包まれる、このトキが大好きだけど―――
「あと5分で起きなきゃ、遅刻ですよ」
すっかり一部となった彼の胸で、悪態をつきながらもそっと眼を伏せた。
「まだ5分もあるだろ?
今日くらい、遅刻しなきゃ問題ない」
「課長のクセに不適切発言ですし」
「だけど、アスミと仕事は天秤になんかかからないし。
俺にとって、仕事と彼女は別モノなの。
キャパも人並み以上にあるからね?」
「もの凄い自信家ですね」
イチイチ憎まれ口を叩く私の中身は、成長スピードが驚くほどに遅いようだ。
こんなにも優しくされて、温かい言葉をくれる人を前にしながらも・・・