パフュームに繋がれて-2人の賭けゴト-
ううん…、賭けを齎された時点で、ようやく自覚した自分の気持ちがある。
忘れられない元彼と、同じフレグランスを纏って転職して来た課長。
大手から規模の小さいウチの会社に来た、デキる彼をずっと避けていた私。
元彼のユウトを思い起こさせる、マリンの香りが辛くて苦しかったから…。
近づかないように気をつけていた事が、もの凄ーく遠い日のコトに思える。
ユウトとの別れを受け入れられずに、ずっと1人で生きて行く筈だったのに。
頑なだった2ヶ月前の自分はなりを潜め、課長に身を委ねてしまっている現在。
出会いって何処に転がっているのか、ホントに分からないモノだね―――
“勝ちの見込みのナイ勝負はしない”
何とも揚々と賭けを持ち掛けた、彼の笑いにも納得だ。
ソレに嵌まって、課長に堕ちていたのは私の方よ・・・