Nameless M
２０世紀最後の年、田中奏太は失意の中、その生涯の幕を引いた。

痕は田中自身が無価値と考え、絶望した、魔法の研究資料だけが……。

しかしこの資料が、田中の名を世界中に知らしめることとなる。

身寄りのなかった田中の遺品は、地方公共機関、つまりは区役所に処理をされた。

その時、１人の若い公務員が田中の資料に興味を持ち、密かに持ち帰ったのだ。

現実に一切の影響を与えない異空間。

そこでのみ起こる超常の数々。

役人は研究一筋の田中が考えもしなかったものに魔法を取り入れた。

ゲームだ。

現実に影響しない場所で、自在に超能力を駆使できるとしたら？

しかもそのノウハウは独占しているとしたら？

役人はそう考え、区役所を退職、退職金を使って、会社を設立した。

それが、ゲーム会社『ＫＡＮＡＴＡ』である。

もともと、根幹となる部分は田中が研究開発済みだったため、会社はゲームとしての体系化とルール作りだけを行った。

そして、田中の死から３年後、ついに魔法ゲーム『グラウンドゼロ』の発売となる。

グラウンドゼロは飛ぶように売れ、世界中で空前絶後の大ヒットを、大ブームを巻き起こした。

そして２０１１年現在。様々なバージョンアップを繰り返し、未だに人気は衰えを知らない。
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