君に捧げる愛
すると、ずっと握っていた百合の手が動いた。
それにすばやく反応して、
「百合・・・?」
と、呼ぶと・・・

「つ・・・ばさ・・・?」
百合の声が聞こえた。
まるで何日ぶりに聞いたかのように
懐かしく思えた。



俺は嬉しくてたまらなかった。
百合の目が覚めただけでもう・・・
嬉しくて仕方がないよ・・・。




「つ・・・ば・・・さ・・・」
あの時のように、百合は何か言いたそうにしてる。
「なに?」
俺は優しく、涙を拭って聞いた。





「・・・愛してるよ・・・」
そう言って、百合はもう目を覚ますことはなかった。
「百合・・・?」
百合はもう・・・空にのぼっていったんだ。
そんなことわかってる。
だけど・・・信じられなかった。
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