LOVE STORY
先輩も、しばらく言葉を選んでるみたいだった。
下を向いて、一生懸命考えてくれてた。
「気持ちは嬉しいんだけど…」
続きを聞きたくない。
聞けない…………
ここまで聞いたら、続きは誰だって分かるだろう。
ごめん…って、言われるんだ。
その時、4人くらいが廊下から出てきた。
先輩も気配に気付いたのか、一度後ろを振り替えると、話を止めてうつ向いた。
その人たちが通り過ぎるまで、沈黙が続く。
人がいなくなったのを確認すると、先輩は再び話し始めた。
「気持ちは嬉しいんだけど、
やっぱり、2コ下だと、
恋愛対象には見れないから…」
先輩は、そのままうつ向く。
眞辺先輩は、「ごめん」って言わなかった。
おそらく、ここで「ごめん」って言われてたら、私はその場で泣き出してたのかも知れない。
でも先輩は、そこで話を終わらせたんだ。
『………分かりました。
ありがとうございました!』
先輩の目を見て、精一杯の笑顔を向ける。
その時の先輩の顔は、全く覚えてない。
そんな余裕はなかったから。
私は、先輩が後ろを向く前に、クルッと向きを変えて駆けていく。
心配そうに見守ってくれてたみんなに、両手でバッテンをつくると、みんなは何も言わずに背中を包んでくれた。