ラバーズキス
マンションの前に車を止めてアツシが来るのをじっと待っていた。
車の中からアツシのバイクが見えた。初めて会った頃のことを懐かしく思った。まさか、自分がアツシをこんなにも好きになるなんて。こんなにも切ない想いをするなんて。


「絶対に泣いちゃダメだよ」
アツシのバイクを見つめるあたしに和希はもう一度言った。なぜ泣いてはいけないのか…あたしはそれよりも早くアツシに会いたい思いでいっぱいだった。

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