killer
 それから一時間は経過しただろうか。あれから裕也たち四人は、トランプやウノをしたりして時間を潰していた。眩しくて閉めていたカーテン。時折、それを少しだけ開いては外の景色を確認していた。街からは少し外れたようで、田んぼが広がっている。今どのあたりを走っているのか、全く分からない。
「ゲームでもする?」
「オッケー、やろうやろう!」
 桃と香苗がゲーム機を取り出す。続いて、他の二人も取り出した。四人のゲーム機には、同じカートリッジがさしこんである。そのまま起動して、通信プレイを押した。音量を小さくすることなく、バトル系のゲームを始めた。もちろん爆音はあるし、ボイスはついている。しかし、誰も注意するものはいなかった。
 盛り上がっているのは彼らだけ。怖いくらいにまわりは静まり返っている。
「……なァ、なんだよこの空気」
「だから眠いんだって思っとけって」
 裕也は亮祐に対し、呆れたようにそういった。しかし、彼は言葉を続ける。
「……いくらなんでも変だけどな……あっ」
 低い音が連続して鳴った。隙をつかれ、桃に倒されてしまっていたのだ。ビリで抜けてしまい、他の三人が戦っているのをただ画面越しに見つめている。
 彼はあくびをし、バスの前方についているデジタル時計を見た。
 出発から一時間半。少しだけ、空腹を感じてきた。
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