[短]花びらが落ちる瞬間
あれは…ちょうど今から3年前。
サッカー部の彼に1年の密かな恋心。
一方通行だった片思いにピリオドが打たれた。
あのベンチで…。
『好きなんだよね、付き合って欲しい』
そう伝えられた。
今みたいに、花びらがヒラヒラと舞い散っていて。
それはまるでドラマの中に飛び込んだみたいで、ほのかに色付くピンク色の風の中。
一緒に舞い上がった私の心。
それが高校2年目の春。
2年生のクラス替えで同じクラスになった。
他のことには手がつかなくて、私の瞳は彼しか見えなかった。
そして…。
あの嬉しい言葉。
目を閉じれば、そこにはぎこちない2人が鮮明に映し出された。
毎日が新鮮で。
一つ知る度にどんどん“好き”が強くなった。
絶えず変化するカタチ。
初めて触れ合う指先に疼く胸。
初めて触れ合う唇は息も止まるくらいに。
初めて触れ合う肌は震えているのに温かくて。
私の心を自由に奪って行った彼。
なのに…その終わりは突然やって来た。