[短]花びらが落ちる瞬間
高校を卒業した私達。
私は就職。
彼は大学。
それぞれ、違う道を歩いていて。
それまでみたいに毎日一緒にいられたのが一転して、会えなくなる日々。
いつ終わりが来てもおかしくなかったある日の朝。
『…久しぶり元気?駅まで一緒に歩きたい』
2週間ぶりの電話にときめいて家を出た。
『伸ちゃーんっ!おはよっ!待った?ごめんねっ!!』
いつもの場所で待つ伸ちゃんに駆け寄った私は、出来るだけ笑顔を向けたのは。
伸ちゃんが険しい表情を浮かべていたから。
『…美紀?』
何か言いたげな伸ちゃんの口を遮る私の怖々する声。
『ま、まだ今時期って寒いよねー?薄着しなきゃよかったかなー』
『美紀…』
『し、伸ちゃん元気そうだねっ?私も元気だよっ』
なるべく明るく言ってみせた引き攣る口元。
『美紀…』
やだっ…聞きたくない。
言わないで…お願い。
…やだよ。
聞きたくないよ…。
『別れよう…』