キミワタシ
「さぁ…って……」

私の言葉に笑う彼。

「気付いたら見てた。自分でもいつからかなんて分かんない」

目の前にいる、私の描く絵の中の彼とは違う、本物の彼。

「でもさぁ、俺ら話したこともねぇじゃん?何であんたは俺をモデルに誘ったの?」

「いきなり」とでも言いたそうな彼。

「最後だから……。描いてみたかったし、一回くらいは話してみたかったから」

「普通に話しかけてくれればよかったのに」

それができたら最初からそうしてるし。

「まぁ…、高校生活最後の思い出にね。いい機会だし心残りがないように、全部終わらせようと思って」

流石にこんな話を人に話すなんて……ていうか本人に話すなんて予想外だったけど。

「卒業……って…、もしかしてあんた…3年?」

「そうだけど」

……今更??

「えっ!?じゃぁあんた先輩じゃんっ!」

「うん」


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