キミワタシ
「ただいまぁ」

「あ、アズサお疲れ様」

玄関のドアを開ければ、奥から母さんの声が返ってくる。

基本、放任主義の家の家庭。

だから受験勉強をしろとかは殆ど言われない。

私の部屋のドアを開ければ、視界に飛び込む部屋一面の私の落書き。

今の私の頭には、別れ際の彼の黒髪と無邪気な笑顔が残ってる。

気付いたら机に座ってて、ノートに描いてる私の右手。

……結構……ヤバいくらい重症…

てか、むしろイカれてるし…。

職業病ってやつ?

少しでも気になったものは絵に描く。

昔からの私の癖。

夢中になったモノなら尚更。

でも、今まで人間を描くことなんてほとんどなかった。しかもこんなにたくさんなんて…。
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