キミワタシ
「あ、俺ら頑張ります!!!」
……蜘蛛の子を散らすってこういうこと?
アイハラソウタに言ったはずなのに、その周りにいた男子達が一斉に叫んだ。
そのまま走って自分の作業を始めた男子達。
………。
まぁ、いいや。部活始めたみたいだし、これで話しかけやすくなった。
「で、部活は?」
散らばった男子達から視線を外して黒髪の彼に目を向けた。
「えっ、俺?」
「……他に誰がいんの」
「帰んなら一緒に帰る」
すでに足を外に踏み出しながら言う彼。
「部活は?」
「しばらく休みー」
美術室を出て、足は必然的に昇降口に向かう。