１億円の使い道

「ア、アカネたーん！！　貴様、許すまじ！　俺にゲロをかけるだけならともかく、アカネたんにかけるとは！　呪ってやる！　ひ孫まで呪って……すっぱい！！」


「す、すいません、テンチョー店長」


　ロースがもう一度立ち上がり、デッキブラシを天井へ高々と掲げてから土下座をした。

ビチャビチャビチャ。

残っていた嘔吐物が再びアカネたんへ襲い掛かった。

アカネたんは汚染され、もはや顔が見えない。


「ア、アカネたーん！！　貴様、許すまじ！　俺にゲロをかけるだけならともかく、二度もアカネたんを……すっぱい！！」


「すいません、テンチョー店長。僕、ステーキを見ると、吐いちゃう体質なんです」


「どんな体質だよ！　ステーキを見ると吐いちゃうってなにさなにさ！？　おかしいだろうが。ここ、なんの店だかわかってるよな？　ステーキ屋だぞ。ステーキのステキだからな。なんでここへ働きにきちゃったんだよ」