でも好き。

はじまり

「水原セナ?誰それ。お前知ってる?」
高校一年の一学期中間考査の順位が廊下に張り出されていた。

一位に上がっていたのは、水原セナ。

「んー。なんかね、普通の子。」

「普通…?可愛いの?」

「どうだろ。ホントに超普通の子だよ?どこにでもいそうなかんじ。」

「ははっどんなだよ。」

水原セナという生徒の話で廊下は盛り上がっていた。
___そうです。私は普通の子です。

特別に可愛い訳でも、
スポーツができる訳でもなく…

恋愛すらしたことのない普通の女子高生です。

小さい時から塾に通ってたので勉強だけはそこそこできますが…ほんとにそれだけ。

「水原〜。ちょっと頼まれてくれ。この資料全部ホッチキスでまとめて視聴覚室に運んどいてくれ。」

「あ…はい。」

頼まれた仕事は断れない上に、要領が悪くて、手先が不器用。


…今日は早く帰りたかったのに。しかたないか。


パチン

パチン


一枚一枚プリントを束ねて、ホッチキスで留める。
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