ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
彼の、静かな叫びにウソはなく。
ただ、ただ、深い悲しみだけが見えたから。
わたしも、思わず、彼の心に流される。
両手を広げて待つ、彼の胸に飛び込んで。
わたしもまた、泣きそうな声で叫んだ。
「刹那(せつな)!
刹那、刹那……!
わたしも……
わたしも、刹那のことが好き……!
愛してる………」
もう、わたしは、何もいらなかった。
彼の美しく、強い腕に抱きしめられ、守ってもらえるのなら。
この世の何者も怖くなんてなかった。
……のに。
それから刹那は、わたしを抱きしめてなんて、くれなかった。
しかも。
彼は、わたしに飛びつかれた格好のまま、喉の奥でくくくっと皮肉げに笑う。
「ぶー、優菜(ゆうな)はまた間違えた。
そこ、名前は『刹那』じゃなくて『颯太(そうた)』だろ?」
「あ……!」
し、しまった!
わたし、間違えた!
刹那の演技があんまり上手かったから!
わたし思わず、役名じゃなく、本名呼んじゃったんだ……!!