ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
 出演する俳優も、周りに居るスタッフも。

 全てが、一流とかって言われる職人気質の人たちだったから。

 わたしが失敗しても、面だって怒ることも、なじることもなく。

 黙々と次に自分が出来ることを、始めちゃうんだもんっ!

 謝りたくても、どのタイミングが良いのか判らないくらいだった。

 それでも。

 刹那の文句に、背中を押されるように。

 思いきって大きな声で謝れば。

 ささくれ立った現場の雰囲気が。

 ふっ……と和んだような気がした。

「優菜ちゃん~~セリフ、今度は大丈夫?
 これで美鈴の撮影は終わりだから、頑張っちゃおうね?
 ん、じゃあテイク4、行ってみようか~~?」

 気を取りなおしたらしい監督さんに手を振って。

 わたしは今度こそ、完璧な演技が出来るように。

 自分を女優の『泉川 優菜』ではなく『颯太』の恋人『美鈴』だと、言い聞かせた、そのときだった。

 今度は、待ってくれ、と刹那の方が手を上げた。

「なぁ、監督~~!
 このシーン。
 後から撮影するわけには、行かねぇ?」



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