ダンディ★ライオンの秘密の恋愛講座
 強く、優しい雰囲気の『颯太』役ではなく。

 軽薄で意地悪な地の性格をむき出しにしたまま、刹那が、言った。

 自分よりも二十は年上の監督さんに、偉そうに、タメ口で話し。

 しかも。

 監督さんを差し置いて、気まぐれに撮影順番を変えろ、と要求出来るのは。

 刹那が、とても人気のある俳優だからに違いない。

 生意気な刹那の態度に、特に怒ることもなく。

 監督さんは、デレクターズ・チェアから立ち上がると。

 メガホンで肩を、とんとんと叩きながら、刹那の前にやって来た。

「どうした、刹那君?
 気分がノらないのかい?」

 そんな、心配そうな監督さんに、刹那は、思いっきりわたしの方を指差して言った。

「ああ。
 だって、あいつ。
 優秀過ぎて、相当な大根役者だぜ?
 一回、じっくり学習させないと、いつまで経っても、監督の希望するようなシーンなんて撮れねぇんじゃね?」

 えっ!

 わたしが、大根役者!?

 なんて、酷い言われよう!

 例え、実はそうだとしても、もっと言い方が、あるでしょうがっ!

 




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