VS~Honey~


俺も一緒に行こうと準備をしていると、リーダーの鉄平が手をさっと上げて俺の行く手を止めた。


「あ、晴紀は大丈夫」

「は?」

「今日はもう終わりだから」

「だから?」


鉄平の言葉を後から玄関に来た龍太郎が引き継いで言った。


「だから、美紗ちゃんの側にいろってことだぁよ」

「……なんか龍太郎くんが言うと下品になるのはなんでなんだろ」

「まっ! 失礼なっ」


龍太郎はそう言いつつもニコニコ手を振って出ていく。
そうしてメンバーは皆帰っていった。唖然と見送るが、でも、ちょっとメンバーには感謝した。
自分の気持ちを自覚してからは、なるべく側にいたいと感じていたのだ。

仕事が忙しくなると一緒に住んでいても、側にいる時間は減るし、会える時間も限られてくる。
だから少しでも時間があれば、近くにいたい、同じ空間にいたいと思うのだ。
まぁ、そう思ってるのが俺だけってのが悲しいが。



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