VS~Honey~


「毎年この時期にあるのよ~」


真後ろで急に声がして驚いて振り向くと結衣が立っていた。


「あ、結衣。陸くんはもういいの?」

「叱り付けて先生のとこにいかせたわ」


ふんと鼻をならし、腕を組んでいる。
どうやらまだご立腹な様子に苦笑する。


「ところで、全校レクって何なの?」

「恒例行事よ。参加しないと、内申書に響く」


うわ、恐ろしいことをいまサラッと言ってのけた。生徒会役員が言うとさらに生々しく感じる。
結衣曰く、この全校レクは生徒の評価に大きく関わるそうで、例えば落第ギリギリの生徒でもこの全校レクで頑張ればそれすらも甘く見てもらえるとかなんとか。真しやかに囁かれている噂らしい。
だからこそ、自分の評価に自信のない生徒は意地でも出ようと考える。


「俺らも参加しないと後々苦労するからな」

「そうなの?」

「龍太郎くんが一度サボったんだ。そしたらその後はレポート量が増えた」


龍太郎さんはこの学校出身だったのか。
それにサボったら大量のレポートとは。この学校はこのレクに力入れてるのだろう。


「今年は何やるんだ? 生徒会役員さん」

「今年はね、鬼ごっこ」


は? 鬼ごっこ?


「今年は個人戦なのか?」

「そう。去年は大縄。その前は騎馬戦だったかしら。勝ったクラスには一年間、食堂の半額券がもらえたの。今年は個人戦ね」


そうだったのか。凄いな。



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