VS~Honey~
「それで? それを俺に伝えるために起きて待っていたわけ?」
被っていた帽子と眼鏡を取りながら晴紀に呆れた顔をされてしまった。
「だって……」
昼間のことを晴紀に相談したく、帰りを待っていたのだ。
もちろん、結衣の気持ちは晴紀には言っていないが、結衣と陸はそれぞれ特別な存在である。
陸の気持ちが結衣にあるなら、何とかしてあげたかった。
「ったく。人のことはほっとけよ」
「でも、陸くんは結衣が好きなんでしょう?
それともアイドルは恋愛禁止なの?」
「そんなことはねーけど……。たださ、陸と田中は幼なじみだろ?」
「うん」
「俺らにはわからねぇくらいの歳月とかがあるわけよ。関係性っつーか、姉弟のような距離感を急に変えろったって、そりゃ臆病にもなるんじゃねーか?」
真っ当な意見にうなだれる。
それはそうだけど……。