VS~Honey~


それに、と晴紀は続ける。


「あのふたりなら大丈夫だよ。それくらい相手を知りつくしてる」

「……うん」


確かに晴紀の言うとおりだ。
でも結衣には早く幸せになってもらいたい。
あの二人は、二人でいる時間が長かったぶん、きっかけがないといつまでも距離は縮められないと思う。

ずっと“幼なじみ”のままなんてそんなの可哀想ではないか。


「仕方ねーな」


納得しきれていない表情でもしていたのだろうか、晴紀はハァとため息をつく。


「陸には気持ちを伝えるきっかけを作ってやるよ」

「本当?」

「あぁ。上手くいくかどうかは本人しだいだからな。俺は知らねーぞ」

「うん」


きっかけだけでも良い。なにかしら取っ掛かりになればそれで良かった。
本音は上手くいけばいいのだけれど。



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