VS~Honey~
すると、晴紀は私を振り返り、ニッコリと微笑んだ。
「初めまして。佐々木晴紀です」
初めまして!?
昨日とは(いや、正確には今朝までとは)別人とも言える爽やかな笑顔で晴紀は私に自己紹介してきた。
これは、誰?
「さ、佐々木くん……は、兄弟とか、いる?」
「いないよ?」
「そう………。」
まかさと思い聞いてみたが、やはり違った。
ということは、コレは家にいたアレで間違いないはずだ。
でも同じ顔でもこうも雰囲気が違う!?
「あ、わからないことがあったら何でも聞いてね。相川さん」
全てがわかりません!
何!? その爽やかな雰囲気。
っていうか、昨日は秘密とかって言って何も教えてくれなかったじゃない。
聞きたいことは山ほどある。
しかし、口を開こうとした私の目を晴紀が一瞬冷たく見つめた。
あ、間違いなく朝の人だ。
そして目が余計なことを言うなと制しているのがわかる。
「大丈夫?緊張してる?」
私が固まっていると、左側から声をかけられる。振り返ると、左隣りの席の女の子が話かけてきた。