VS~Honey~
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『ではルールを説明します。生徒の皆さんには赤いバンダナを腕に巻いてもらいます。制限時間内に、鬼役の先生、生徒会役員、各クラスの委員長に捕まり、没収されないよう逃げて下さい。場所は校舎内のみ。細かいルールはアチコチに掲示してありますので各自で確認するように』
体育館に集合し、全生徒たちはルール説明を受ける。壇上の校長は終始笑顔だ。
校長、楽しそうだな。
この校長は毎年この行事にだけかなり力を入れている。
そのぶん、他が多少緩いのは有り難いことだ。
『ちなみに、捕まらなかった生徒には評価アップ&一ヶ月学食無料サービスだ!』
ウオオオオオッ!! と歓声があがる。
育ち盛りの高校生には学食一ヶ月無料ってのは魅力的だ。
それに、評価アップも嬉しい特典で、悪い言い方をすれば、一年のうち今日だけ頑張ればあとは何とかなってしまう。
だからこそ、この行事に関してはサボる人もふざける人も少ない。
『では、健闘を祈る』
校長の合図とともに、生徒達は校舎内に消えていった。
この学校は私立なだけにかなり広い。
本館と別館二つだが生徒数に対し、敷地は広かった。
これは鬼役も大変だなと同情する。
「晴紀。美紗ちゃんから目を離すなよ」
陸がそうささやいて走り去っていった。
ハッとして見渡すが、大勢の生徒に紛れ、美紗の姿は見えない。目を離すなって言われたって、もうすでにいなかった。