VS~Honey~


斎藤先生は俺に挑むような目で微笑んでいる。

なるほど。こいつも俺と同類か。


「安心してください。まだ捕まえませんから。僕の目的は貴方ではありません」

「美紗ですか」

「貴方も探しているようですね。どちらが先に見つけられるでしょうか」

「あいつに触るな」

「独占欲はよくありませんよ。“まだ”貴方のものではないでしょう?」


斎藤先生はクスっと笑った。


「ではどちらが先に見つけられるか競争ですね」


先生はそう言って、俺の前から踵を返し走り去っていった。
この鬼ごっこは、斎藤先生の方が動きやすい。

美紗は触らせねぇ。

俺も美紗を探しに走った。






< 136 / 211 >

この作品をシェア

pagetop