VS~Honey~
斎藤先生は俺に挑むような目で微笑んでいる。
なるほど。こいつも俺と同類か。
「安心してください。まだ捕まえませんから。僕の目的は貴方ではありません」
「美紗ですか」
「貴方も探しているようですね。どちらが先に見つけられるでしょうか」
「あいつに触るな」
「独占欲はよくありませんよ。“まだ”貴方のものではないでしょう?」
斎藤先生はクスっと笑った。
「ではどちらが先に見つけられるか競争ですね」
先生はそう言って、俺の前から踵を返し走り去っていった。
この鬼ごっこは、斎藤先生の方が動きやすい。
美紗は触らせねぇ。
俺も美紗を探しに走った。