VS~Honey~


求めていた人の姿に声が詰まる。涙だけがボロボロと溢れる。


「……うっ」

「とにかく、こっちに来い」


晴紀は周りをチラッときにしながら、泣きじゃくる私の腕を掴み、側にあった化学準備室に入った。

ドアを閉めると外からの声も聞こえなくなり、別空間のような気がした。


「なにがあったん……」


晴紀の言葉が終わる前に私は晴紀の胸に飛び込んだ。


「美紗!?」


驚きの声があがるが、私はそれどころではなく、ただひたすら晴紀にしがみついた。

晴紀だ。晴紀がいる。
晴紀の甘い匂いがする。

それだけで凄く安心した。

晴紀が側にいる。

それだけで。



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