VS~Honey~
ギュッとしがみつく私を拒否もせず、頭を優しく撫でてくれる。
拒否されなかったことがまた安堵に繋がる。
「斎藤先生に何かされたのか?」
そして晴紀が撫でていた手を背中に回し、優しく抱きしめ返してくれた。
ドキンと胸が高鳴るが、抱き締められるだけで、心が落ち着いてくる。
「本気だって……抱きしめられた」
「そうか」
涙声で答えると、私の背中に回った晴紀の腕に少し力が入った。
「わ、私先生の気持ちとかいろいろ感じたら、どうしたらいいかわからなくて」
「うん」
「怖さとかじゃないんだけど」
「うん」
「涙が止まらなくなって」
「うん」
「凄く」
「うん」
「晴紀にあいたかった」
そう言ってすがり付くように晴紀の胸に顔を埋めると晴紀が全身で私を包み込むようにギュウッと抱きしめた。