VS~Honey~


「俺も、美紗をさがしてた」


耳元で晴紀は低くささやく。
その声で、晴紀が側にいると改めて実感する。


「ごめんな。すぐに見つけてやれなくて。助けてやれなくて。ごめん、ごめんな」


切なげに何度も謝ってくる。

晴紀。

晴紀の温もりが身体を包む。


「美紗のこと、守ってあげたかったのに。あんな思いさせたくなかったのに」


あんな思いとは、私が怖がったことだろう。晴紀は守ろうと思ってくれていたのか。
だから今も探しに来てくれた?

晴紀の優しさが染み込んでくる。

あぁ、やっぱり。

ドキドキはするけど、晴紀の側は誰よりも誰よりも。


「安心する……」



< 146 / 211 >

この作品をシェア

pagetop