VS~Honey~
ポツリと言葉が漏れると、晴紀が少し身体を離し、私を見下ろした。
顔を上げると優しく見下ろす晴紀と目が合う。
初めてみるそんな瞳に、ハッとしてなんか急に恥ずかしくなってきた。
ひとしきり泣いたお陰で頭が冷静になってくる。
パニックになっていたとはいえ、私、晴紀に自分から抱きついた!?
挙動不審になっていると晴紀はにっこり微笑み、口調はいつものように意地悪なのに優しい声を出した。
「いつも反撃してくるくせに、俺の側は安心する?」
「いや、あのっ、えっと、ごめん! 今のは忘れてっ!」
「無理。しっかりと聞いた」
「あの、パニックになっていたっていうか」
「そんな時にあいたかったのは俺なんだろ?」
意地悪晴紀になっている。
なのになぜそんなに嬉しそうなのだろうか。
「美~紗」
晴紀が私のほっぺたを触る。
手の大きさと温かさに顔が熱くなる。
意識したらドキドキが大きくなってきた。
「顔、赤いよ?」
「うるさいっ!」
恥ずかしくて晴紀から身体を離そうとしたが、晴紀の腕が腰にしっかりとまかれて離れない。