VS~Honey~
家に帰ると美紗がリビングでテレビを見ていた。
Marsが出演しているバラエティー番組。
見てくれていたのかと少し照れる。
「ただいま」
「あ、おかえり」
美紗がにっこりと笑顔で振り向いて、その顔を見るだけで疲れが吹っ飛ぶ気がした。
「俺の番組見てたの?」
「そう。偽物の晴紀を見ていたの」
邪気のない笑顔で何てことを言うんだ。
言ってくれるじゃないかと、意地悪したくなる。
「本物の方がカッコイイだろ?」
俺はソファーに座っている美紗を後ろから抱きしめて、わざと耳元で話す。
「ちょっと!」
美紗が赤くなりながら耳を押さえようとする。