VS~Honey~
「もうっ。そんなことするならご飯作らないからねっ」
「悪りぃ、悪りぃ」
リビングに戻ってからも怒る美紗に頭をポンポンと撫でて、あっ、と俺はさりげなく言った。
「斎藤先生が美紗に謝ってたぜ。悪かったってさ」
美紗の動きが止まる。
その顔が固い。
「……斎藤先生と話したの?」
「あぁ」
何てことないという風を装うが、美紗が俺の服を掴み心配そうな顔で見上げてきた。
「大丈夫だった?」
「うん。美紗は俺のものだって言ってきた」
「っ……」
心配させないよう明るくおどけると、その言葉に赤くなって俯いてる。
こういう反応が可愛い。
赤くなった頬を指で撫でる。
「お前に触っていいのは俺だけだから」
「晴紀」
美紗が俺に抱きついてきて、それを受け止めながら優しく頭を撫でてあげる。
俺から抱きしめると慌てるくせに変なとこで積極的だ。
そんなとこが可愛いけれど。