VS~Honey~



すぐには見つからず、しばらくしてから降りていくと既に龍太郎はいなかった。


「あれ? 龍太郎くんは?」

「あ、なんか、時間がないって言って帰っていったよ」


帰った? なんなんだあの人は。
わけがわからないまま、まぁいいかと戻ろうとして異変に気が付く。


「美紗?」


振り向いて目を合わそうとするとサッとそらされた。

ん? なぜ逸らした?


「美紗?」

「な、何?」


名前を呼んで少し屈み、目を会わせようとするが明らかに美紗の目が泳いでるし、挙動不審だった。

俺はにっこり微笑む。


「龍太郎くんに何か言われたろ?」

「何も?」


言われたな、これは。

俺の問いかけに即答するし、挙動が怪しい。
俺は小さくため息をついた。



< 168 / 211 >

この作品をシェア

pagetop