VS~Honey~


昼間の龍太郎の台詞を思いだし、そう言うことかと納得する。
何を言ったのかはわからないが、美紗を挙動不審にさせるような何かを言ったのは間違いない。
それをいうために、わざわざ必要のない楽譜を取りに行かせたのだろう。


「あのさ、何言われたか知らないけど、あの人のいうことは別に気にしなくていいから」

「……いいの?」


美紗が困ったように見上げてくる。
それに今度は俺が焦る。
な、なんだその反応は。
なにを言われた?


「本当に、いいの?」

「……お前、何言われたんだ?」


俯くその顔はほんのり赤い。
さらに追求しようとしたら、「なんでもない」
といって部屋に駆け戻っていった。


その姿を見て妙に焦る。

おいおい、何言ったんだよ、龍太郎。

どうせ、ろくなことじゃないんだと俺は諦めに似たため息を大きくついた。






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