VS~Honey~

肯定するように小さく頷き、落ち着かせるように息を吐いた。


「ちょっと、ケンカしました」

「そう。行こう」


行こう? どこに?

予想のしなかった返事にキョトンとする。


「家に帰るんだよ」

「今は帰れません」

「何があったかは知らないけど、晴紀は君に会うのを楽しみにしていた。だから帰ろう」


そんな簡単に。そう言うとレオは不思議そうな顔をした。


「簡単だよ。時間がたてばたつほど仲直りしにくくなる。側にいるだけでいいんだよ」


レオは私を促した。
その声は穏やかだから、なだめられている気分になり自然と足が着いていく。


「ツアー中、ずっと君に会いたがっていた晴紀を見てるから何があったかは知らないけど、側にいてあげてよ」


会いたがっていてくれたのに、どうしてあそこまで怒るの。
その答えも、晴紀にしかわからないのか。
気がつけばレオは家まで送ってくれた。



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