VS~Honey~
ーー
「大丈夫。ただの風邪だと思う」
「良かった」
私はホッと一息つく。
引き返してくれたレオは晴紀を部屋まで運んでくれて着替えをさせ、その間に私は解熱するために氷枕などの用意をした。
私ひとりじゃ運べなかったからレオには感謝だ。
「この前から体調崩してたからな」
そういえば、一昨日電話した時、具合悪そうだった。
もしかして、さっきやたら怒っていたのも風邪引いていたっていうのがあるかもしれない。
私、気がつかなかった。
「熱も下がってきて落ち着いてきてるし、心配ないよ。念のため後で病院行ってね」
「はい。レオさん、ありがとう」
「いいよ。でも目が覚めるまで側にいてあげて」
「うん」
そう言ってレオは笑顔で帰っていった。口数は少ないけど、優しい人だ。
レオのお陰で私の気持ちも落ち着いてきた。
ベッドの晴紀はグッタリとして、深く眠っている。
ごめんね、晴紀。
私、晴紀の様子に気がつかなかった。
怒って飛び出したりした。
「ごめんね、晴紀」
私は晴紀の手をギュッと握った。