VS~Honey~
やばい、またこのパターン!?
どうしようかと必死で頭の中を振る回転させる。そして、話が途中だったと気がつく。
「あ、そだ! 青木って人の事聞いてないよっ」
私は話題を変えて気をそらそうとする。しかし晴紀はつまらなそうな顔をするだけだった。
「あ? なんで俺が教えなきゃいけねんだよ」
「だって私知らないし」
そう答えると、晴紀は机に片手をつき、じっと見つめてくる。
うわ、だからその顔止めてよ。
変にドキドキするから!
「お前って本当知りたがりだな」
一瞬、晴紀のつまらなそうな表情から不機嫌な表情になった。
そしてスッと体を起こすと不意に大きな声を出す。
「知りたきゃ本人に聞けよ。つーか、ニヤニヤ笑ってんじゃねーよ! おい、陸」
晴紀は突然私の肩越しに向かって怒鳴った。
えっ!?
驚いて振り返るとテーブルの反対側に茶髪の男が立っていた。
えっ、誰?
「あ、ばれた?」
茶髪はヘヘっと悪びる様子もなく笑った。
晴紀に負けず衰えずのイケメンで笑った時のえくぼが印象的だ。笑顔が可愛い。
着崩した制服はなんだかちょっとセクシーだ。
「とっくにばれてんだよ。盗み聞きしやがって」
晴紀はチッと小さく舌打ちをした。