VS~Honey~
すると美紗はキッと俺を睨んで言った。
「服っ。着なよ!」
美紗が叫ぶ。
怒ったような顔で、なるほどと合点がいった。
顔が赤いのはそっちのことか。
風呂上がりだったため、俺は上半身裸だった。
こんなんで怒るか?
「いいじゃねーか、減るもんじゃねぇし?」
こいつは本当、いちいちうるさい。
「減るっ。私の視力が」
そう言われて水を飲む手がピタッと止まる。
……言ってくれるじゃねーか。
超人気アイドルをつかまえて。
しかもこっち見ないようにしてやがるし。
あ、またムズムズしてきた。こいつを見ていると無性にいじめたくなる。
小動物のような目で見上げてきて、強がりや反撃をしてくる。
そのわりに、迫ると赤くなって逃げようとする。
俺のS心に火がつく。
からかいたくて苛めたくて遊びたくなる。
「視力が、なに?」