VS~Honey~

住んでる? え、誰が?

私が驚いて固まっていると、男は呆れたようにため息をついた。


「知らないのか」

「どういこと、でしょうか……?」


あぁ今、私、確実にアホっぽい顔してるんだろうな。
でも、さっぱりわからない。

この男はここに住んでると言った。
しかしこの家は私の家である。


「だから、俺も住んでるんだよ」


男はもう一度同じ台詞を言い、ハァ~、と深くため息をついた。


「じゃ、そういう訳だから」

「えっ!? は? ちょっと!」


一体どういう訳なのか。
さっぱりわからない。
説明を求めようとするが、私が引き留める間もなく、男は軽く手を挙げ部屋をでていった。




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